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自己破産の進み方(同時廃止/少額管財)池袋東口法律事務所

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借金相談・債務整理トップ > 破産(自己破産) > 破産の種類 少額管財と同時廃止とは?

自己破産 よくある質問(弁護士によるQ&A)

東京池袋の自己破産の経験豊富な弁護士が質問にお答えします。無料相談のときにもなんでもお尋ね下さい。

Q.少額管財と同時廃止とは何ですか?

A.弁護士が申立てる個人の自己破産では,破産手続きの流れに少額管財と同時廃止の二種類があります(東京地裁の場合)。

 少額管財では,裁判所に自己破産の申立てをした後,裁判所が「破産管財人」という当所とは別の法律事務所の弁護士を選任し,破産管財人が破産手続を進めていくことになります。少額管財では,破産申立ての後,破産管財人の事務所に当職と一緒に面接に行って頂きます。その後,破産管財人が財産を処分するなどし,裁判所で通常1回の債権者集会があって,集会が終われば,その後に裁判所から免責許可が下りて終わりです。

 これに対し,同時廃止は,処分する財産がなく,これ以上調査の必要もないと裁判官が考えた場合に裁判官が決定する手続です。同時廃止は破産管財人をつける必要がない事案ですから,破産管財人の選任自体がなく,すぐに破産手続きが終わってしまいます(破産手続きの開始と同時に手続が廃止されるので「同時廃止」といいます。)。この後,2,3ヶ月後に裁判所で免責審尋という機会があり,その後に裁判所から免責許可が下りて終わりです。

 どちらにしても,免責が得られる(借金がなくなる)ことは同じです。ただ,破産管財人がつく少額管財と,つかない同時廃止と,二つのルートがあるということです。

 少額管財になるか同時廃止になるかは,弁護士が裁判所に破産の申立をした際に裁判官が決めますから,ご依頼の段階ではどちらになるか確定していません。
 しかし,大まかな基準はあり,少額管財になるのは例えば以下のような場合です。

・不動産を持っている(ただし不動産の査定価格より大幅に住宅ローンの残高が多い場合は同時廃止の余地あり)
・不動産以外であっても破産管財人が処分できる財産がある(20万円以上の財産。現金や預金,保険の解約金,株式などの資産が20万円以上あると必ず少額管財となります。
【→平成29年4月,東京地裁の運用変更により「現金」については33万円以上と基準が緩和されました。】
・ギャンブルや浪費をしているため,免責してよいかについて破産管財人が調査する必要がある
・借金の金額が多く,お金の使途が不明で,財産が残っていないか破産管財人が調査する必要がある
・二回目の破産
・個人事業主や会社代表者の破産
・個人再生に失敗した後の破産


 少額管財と同時廃止を比較しますと,費用的には,少額管財の場合,破産管財人に報酬20万円支払う必要があり,実費としてこの20万円が上乗せになります。これに対し,同時廃止の場合ですと破産管財人の報酬はいりませんので,その分依頼者の方は助かることになります。
 また,手間的にいっても,同時廃止の場合は管財人面談などがありませんので手間が少ないといえます。

 では,少額管財が悪い手続で同時廃止が良い手続なのか?というと,必ずしもそうではありません。
 例えば,ギャンブルをしていると免責不許可(借金がなくならない)の可能性がありますが,管財人が「裁量免責相当(免責してもいいと管財人が考えるという意見)」を裁判所に出してくれれば,免責が得られやすくなります。裁判官はそこまで考えて,同時廃止にするか少額管財にするかを決定しています。

 ですから,少額管財と同時廃止とは,必ずしも同時廃止が良い,というわけではないのですが,やはり管財人報酬20万円を上乗せで支払うのは依頼者の方にとっては大変ですので,少額管財が確定な案件は無理ですが,どちらか微妙な案件については,問題がない限り,できれば同時廃止で通したいとも当職は考えており,日々頑張って綿密な調査をして,破産の申立書を作っています

 というのも,予め綿密な調査をして,破産管財人の追加調査のいらない,良い申立書を作って申し立てると,微妙な案件であっても裁判官は同時廃止で通してくれたりするものなのです。以下は,近時,池袋東口法律事務所で平成27年以降に破産申立をして同時廃止になったものの一部です。

・負債総額約1030万,クレジットカードのショッピング枠の現金化があった事案
・負債総額約570万,2回目の破産の事案
・負債総額約350万,株・FXで損金のあった事案
・負債総額約450万,競馬の浪費があった事案
・負債総額約420万,パチンコ・旅行に浪費があった事案
・負債総額約500万,パチンコに約100万の浪費,換金行為約100万があった事案
・負債総額約670万,飲食に約400万円の浪費,収入職業を偽っての借入があった事案
・負債総額約600万,漫画・ゲーム・パチンコに浪費があった事案
・負債総額約500万,飲食・酒に約400万円の浪費があった事案
・負債総額約310万,パチンコに浪費があった事案
・負債総額約450万,複数回合計約400万のデート商法被害や買物の浪費があった事案
・負債総額約440万,スマホゲーム課金の浪費があった事案


 いずれも一般的には少額管財となっておかしくない事案ですが,当職が予め十分な調査をし準備をして申立をしたため,同時廃止となりました。申立前の調査はとても重要といえます。

 仮に十分な調査をして申立をしても結果的に同時廃止にならず少額管財になってしまったとしても,同時廃止を目指し予め綿密な調査をしておけば,少額管財手続の中で管財人に指摘される事項が減り,破産申立てをした後に予期しない問題が発生するのを防ぐことができ,手続が楽になります。予めの調査は,最終的に借金をなくすのにはとても役立ちます。

 そういうわけで,予めの十分な調査はとても大切なため,当職は,大急ぎで申し立てなければならない特殊な事情がある案件を除いて,ひとつひとつの案件について十分に調査をさせて頂いております。その分だけ依頼者の方の調査へのご協力が必要になる場面も多くなってしまいますが,それは,なにぶん円滑な破産申立てのためですので,依頼者の皆様におかれましては,ご理解ご協力をいただくよう,ここにお願いする次第です。

 当職は,破産申立代理人として,破産手続きに支障がない限り,依頼者に有利な解決を目指します。自己破産をお考えの方は,一度,東京池袋の弁護士にご相談下さい

※平成29年2月追記※
 東京地裁の開示資料によると,平成28年10月に同時廃止を求めて申立てられた破産申立のうち,24.5パーセントが裁判官の判断によって少額管財とされたとのことであり,以前と比べると急増と言っていい状況です。
 小職の実感においても,近時,負債が多い案件や微妙な事情がある案件については以前より裁判官のチェックが厳しくなったと感じることがあります。特に負債が500万以上であったり,免責不許可事由があるケースではその傾向が顕著です。過去,池袋東口法律事務所で同時廃止希望の申立をして少額管財とされた案件はほぼありませんが,同時廃止を予定していたものが想定外に少額管財になってしまうと,予納金の準備等,依頼者の方も大変です。同時廃止を求める際には,今までにも増して裁判官が気にするポイントについて特に入念な調査をしていく必要性を感じているところです。
※平成30年3月追記※
 東京地裁の開示資料によると,平成30年の東京地裁への破産申立9888件のうち,同時廃止となったのは3293件と3割強の割合だったとのことです。約5年程前は4割以上が同時廃止でしたので,同時廃止の割合は減少傾向にあります。ただし,上記件数には1574件の法人破産を含んでおり,法人は管財事件となりますから,個人の破産申立に限れば,少し同時廃止の割合は増加します。「個人の破産申立は以前は半分は同時廃止になっていたのが,最近は少額管財の方が多くなった」と表現するのが正確かと思います。いずれにしても,多重債務問題の状況にあまり変化がないのに少額管財が増えていますので,少額管財を原則とするという考え方を裁判所がしてきていることの反映ではないかと思われます。同時廃止の申立については事前の詳細な調査・確認が更に必要となっています。
※令和4年2月追記※
 東京地裁の開示資料によると,令和3年11月の東京地裁への破産申立670件のうち,同時廃止となったのは178件と26%の割合だったとのことです。前述のとおり平成の時代は4割以上が同時廃止でしたので,同時廃止の割合は更に減少傾向にあります。東京地裁20部によればこれまで管財事件と同時廃止事件の振り分け基準を厳格にする方向で変更したことはないとのことですが。。10年前からかれこれ千件位の破産申立を行ってきましたが,以前は同時廃止で通ったものが最近は通らなくなってきた感が多少なりとも否めません。弊所はこれまで同様,事前の調査を行った上で管財人の調査の必要がないと考えられる件については同時廃止での申立を行っていく方針です。しかしながら,4件に3件が少額管財という統計を前提とすると,明らかに同時廃止が見込まれる事件でない場合は少額管財となることも見込んでおく必要があるといえるでしょう。

著作者:弁護士 笹浪 靖史

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