A.たくさんの業者から借金をしている人をターゲットに,「おまとめローン」といって,「借金の一本化」を売りにした金融商品が宣伝されています。たくさんの業者から借金があると大変でしょう,借金をまとめて楽にしませんか,金利も低くなりますよ,というような内容です。
借金の問題解決には,このサイトでお話している弁護士が行う債務整理がありますので,今回は債務整理の方法のなかでも「任意整理」と「おまとめローン」とを比較してみます。
○がついている方がメリットがあるという意味です。
任意整理 | おまとめローン | |
将来利息のカット | あり(○) | なし(×) |
利息制限法違反の金利の減額 | あり(○) | なし(×) |
担保(保証人など)を求められる可能性 | なし(○) | あり(×) |
信用情報機関の掲載 | あり(×) | 短期的にはなし(△) |
ご覧頂いてわかるように,○は任意整理のほうが多くなっています。
おまとめローンは,結局あたらしいまとめ先で借金をするということであり,多少金利が下がることがあったとしても(金利が変わらないことも多いようですが),金利がつくこと自体は変わらない(×)のに対し,任意整理であれば通常将来の利息をカットできます(○)。
また,過去に支払った利息制限法違反の金利を取り返す仕組みもありません(×)から,完済した業者には別途弁護士に依頼して過払い請求が必要なのに対し,任意整理であれば過払い請求もセットになっているので過払いを請求しないままになることがありません(○)。
さらに,一番悪いケースは,借金をまとめることで1社の借金の金額が大きくなる関係で借金に保証人などの担保を求められ,これに応じて保証人をつけてしまう場合(×)です。保証人をつけてしまうと,将来支払が厳しくなって債務整理をしようとしても,保証人に影響が及ぶことが避けられなくなり,保証人も一緒に自己破産しなければならないとか,困った事態が起こりうるのです。加えて,お住まいの住宅に新たに担保を設定してしまったりすると,将来住宅を守る債務の整理方法である個人再生ができなくなり,大変困ることになります(Q&A個人再生でマイホームを守る参照)。これに対し,任意整理であればこうした心配はありません(○)。
任意整理と比較しておまとめローンに唯一良いところがあるとすれば,支払を続けている限りは信用情報機関に掲載されませんから,新たな借金ができる可能性が残るということでしょうか。
もっとも,ローンをおまとめしたはよいが,その後にまた苦しくなり,おまとめで完済した業者から再び借りてしまい,結局おまとめが解決にならずに借金が膨らんでしまってどうしようもなくなりご相談にこられた方を当職は多く見てきました。おまとめローンは,結局,その場しのぎの借金問題の先送りに過ぎず,根本的解決にはなりにくいのです。まとめることがその場しのぎになっていないか,本当に将来その借金が完済できるのか,冷静に考えてみることが必要です。今以上に借金を増やして,本当に完済できるのでしょうか。できるとしたらそれは何年後になるのですか。その間の生活はどうなりますか。その場しのぎで今をしのげればよいのですか。良く考えれば,今すべきことが「おまとめローン」ではないことがわかるのではないでしょうか。
「おまとめローン」は借金の総額を増やすことになりがちであり,近年多重債務問題を扱う弁護士の間でも問題視されつつある金融商品です。今回は「おまとめローン」と任意整理と比較しましたが,弁護士が行う債務整理にはこの他にも自己破産や個人再生という方法もあります。そちらの借金の減額・免除の力はおまとめローンの比ではありません。
そうして考えると,おまとめローンは金融機関が工夫して作った商品ではあるのでしょうが,おまとめをする位であれば,その時点で債務整理をしたほうがいいケースが実際上ほとんどだろう思います。
池袋東口法律事務所では,いまある借金をおまとめローンしようと思うがどうか,とか,借金の問題解決には他にどのような方法があるか,といったご相談もお受けしています(例えばローンのパンフレットをお持ち頂けば,その商品の良いところだけではなくリスクのご案内もできると思います。)。
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