7年前に失業して借金を支払えなくなり,それ以来請求を無視してきたが,先日業者から「緊急通知。自宅訪問予告。すぐに支払え」との督促状が届いたというご相談でした。
このように支払を長期にわたり止めている場合,債務整理の方法としてまず検討するのは消滅時効です。
支払を止めていた間の状況を詳しく伺っていくと,時効で債務をなくせそうだと考えられたため,消滅時効を使った債務整理をご案内しました。
(ただし,時効は実際に業者と交渉してみないと使えるかわからないところがあるため,時効がうまくいかなかった場合は自己破産をするという手はずで打ち合わせしました。)
その後,債権を調査したところ,やはり時効で債務をなくすことができそうだと判断されたため,業者に内容証明郵便で時効を使う旨の通知を出しました。
その後,業者からの反論を確認し,反論もないということでしたので時効で借金がなくなった確認がとれました。
「債権は,十年間行使しないときは,消滅する。」(民法第167条第1項)
「商行為によって生じた債権は,この法律に別段の定めがある場合を除き,五年間行使しないときは,時効によって消滅する。」(商法第522条本文)
時効というと犯罪の時効の方が有名かもしれませんが,民事商事の取引でも時効があります。
債権の種類によって期間が違いますが,その期間の間支払わないでいると,裁判に訴えられて判決がとられているなどのことがない限り,債権が時効にかかり,時効を使えば支払い義務がなくせるのです。
時効で権利をなくすなんて,なんだか業者がかわいそうだ,という意見があるかもしれませんが,時効という制度は古代ローマ時代からの歴史がある仕組みで,長い歴史があり,様々な存在理由があります(余談になるのでここでは触れません。)。
また,逆に業者が借主に返すべき「過払金」にも時効があり,業者も時効になった過払金は支払いませんので,お互い様というところでしょうか。
なお,消滅時効は一定期間が経てば自動的に成立するわけではなく,借金をなくすために消滅時効を使用する手続(「援用」といいます。)が必要です。
時効の手続を行わないと,貸金業者が加盟する借主の与信のための信用情報機関では,完済や時効の援用などで借金が整理されない限り,永遠に滞納者として掲載されたままになってしまう可能性がありますし,業者からはいつでも請求を受け得ることになります。
時効が問題になるパターンとしてはいくつかあるのですが,一番いけないパターンは,もう支払を止めてから5年,10年たっていておそらく時効になった借金について業者が訴えてきたケースで,裁判所からの通知を無視してしまい,弁護士に相談せず裁判所にも行かずに,裁判を欠席してしまうことです。
裁判を欠席すると,その借金は時効だというこちらの主張ができないまま,借金の支払い義務が確定してしまい,また十年間,いつ差押えを受けるか分からないという不安定な立場に置かれることになってしまいます。
時効が使えれば,比較的簡単に借金を債務整理できます。長期間支払を止めていると思い当たる方や,業者から訴状が届いた方など,時効や債務整理については池袋の弁護士にご相談下さい。
時効はほおって置けば勝手に成立し借金がなくなるという制度ではありません。正式な手続が必要です。
また,借金が複数あり,時効になっているものとそうでないものが混在しているケースなど,今後どうすることが一番ご本人のためになるか,判断が微妙なケースがあります。
そうした場合,当職はご本人の立場に立ち,それぞれどういうリスクがあるかご説明し,最後はご本人に決めていただいています。ご自身の現在の状況を客観的に確認することはとても大切なことです。一度無料相談にお越し下さい。
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