債務整理のご相談にこられた方でしたが,クレジットカードのローンが170万円あって困っているというお話。
収入からは多めの借金でしたので任意整理か場合によっては自己破産かなと思って借金の原因を聞いたところ,次のようなお話でした。
ある日,原宿を歩いていると,「アイドルになりませんか?」とスカウトされた。とりあえず話だけ聞くつもりで雑居ビルに行くと,「アイドル写真を撮影してネット掲載すれば代金としてあなたに月に15万円払います。ただ撮影のためには衣装セットが必要です。衣装はとりあえず頭金30万円をご自身負担して下さい。後の170万はご自身でクレジットカードを何枚か作って分割払で買ってもらって,分割払いは毎月お支払するネット掲載料で払えばおつりがきますよ」という話で,クレジットカードを作って契約してしまったとのこと。
しかし,それ以来スカウト会社が支払うといった写真のネット掲載料が支払われることはなく,クレジットカードの支払いに困っている,という次第でした(実際の事案とは少し事実を変えています。)。
当職がネットを確認しても,写真が掲載されている形跡はなく,サイトも更新されておらず,実際に事業をしているとは思えない形だけのホームページしかありません。売買契約書面にも不備が見つかりました。
その他の調査をしたところ,要するに本件は衣装を買わせるための詐欺だと考えられました。
そこで,販売業者に対しては,後で説明する「詐欺による取消し」と,キャッチセールスによる売買契約で契約書面に不備があると使える「特定商取引法に基づくクーリングオフ」という二段構えで交渉し,クレジット会社に対しては「抗弁の接続」を使って交渉することにしました。
さっそく業者に連絡したところ,詐欺会社というのはすぐに逃げてしまって連絡がつかないことが多いのですが,幸いまだ連絡がついたため,こっちはそっちを既に調査していることを伝えつつ(実際ネットのIPアドレス等からある程度情報収集は可能です。),内容証明郵便で契約は詐欺だから取り消すこと,契約書面に不備があることから特定商取引法に基づきクーリングオフすることを伝えて交渉し,結果的には,業者から多少の慰謝料と合わせ既に支払った30万円+αの回収ができました。
別途,クレジット会社に対しては,詐欺ないし特定商取引法違反で業者との契約を取り消したと伝え,割賦販売法に基づく抗弁の接続で,クレジットカードの支払いはしないといって交渉し,どの会社も支払い義務をなくすことができました。
「詐欺または脅迫による意思表示は,取り消すことができる。」(民法第96条第1項)
「取り消された行為は,初めから無効であったものとみなす。」(民法第121条第1項本文)
詐欺による契約は取消せばなかったことになりますよ,ということです。
「抗弁の接続」とは,簡単に言うと,売買契約に問題があった時はその商品のローン契約にも同じ問題がある扱いになるというような話です。本件では本契約が取消されたので,抗弁の接続によりローン契約も取消になります。
なお,抗弁の接続を使えるローンと使えないローンがあります。
本件は,借金・債務の相談ではありましたが,その内実は消費者詐欺事件でした。
本件に対する対処方法としては,任意整理や自己破産によりローンを減免して解決することもできます(そのほうが事件処理としてはおそらく簡単です。)。ただ,いくら債務整理をすれば支払が減るといっても,そもそも契約が詐欺なのにどうして支払う必要があるのでしょうか。
本件は,契約を詐欺として取り消すことで,自己破産をすることも信用情報機関に悪影響を与えることも防ぎながら債務をゼロにできたケースです(この方はローン会社のクレジットカードの使用も再開されました。)。
そもそもこの依頼者は詐欺会社にだまされただけで,何も悪くないのですから,当然といえます。
池袋東口法律事務所では依頼者の方にもっとも有利な解決が何か考えながら債務整理を行っています。
当職は,債務整理のみならず,消費者詐欺などの消費者事件にも力を入れています。
そもそも契約がおかしかったとか,事情がおありの方は,一度無料相談にお越し下さい。債務整理によるだけでなく,あなたにとって一番有利な解決を考えたいと思います。
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