A.個人再生では,住宅ローンの支払いだけそのまま続けることでマイホームを守りながら,その他の借金を大幅減額する制度があります(住宅資金特別条項・民事再生法198条1項,196条)。
そのための条件の概略は以下のとおりです。
1.個人再生を申し立てる個人が住宅(建物,マンション)を所有している。
⇒登記上その住宅の所有者であることが必要です。共有の場合は一部でもかまいません。
2.その個人がその住宅の床面積の二分の一以上を主に居住のために使っている。
⇒その住宅に自分で住んでいることが必要です。住民票の住所との一致で確認することが多いです。
3.その住宅に住宅ローンの抵当権が設定されている。
⇒その住宅に住宅ローンの抵当権がついているかです。登記をみて確認します。
住宅ローンを完済した住宅については住宅資金特別条項の対象ではありません。
4.その住宅にその住宅ローン以外の抵当権が設定されていない。
⇒例えば,住宅ローン以外に「おまとめローン」の抵当権がついていたりするとこの時点でだめです。
(なお,Q&A「おまとめローン」の問題参照。)
5.共同担保不動産があるときは,それに住宅ローンの抵当権に遅れる別の抵当権が設定されていない。
6.住宅ローンが既に代位弁済されているときは,代位弁済から6ヶ月経過していない
上記は住宅資金特別条項を使うための条件の概略ですが,条件の該当性についてはみなさまの状況をうかがい慎重に判断することが必要です。もしも条件をみたしていなかったら,個人再生を申し立てても,裁判所に再生計画が認可されず,個人再生の意味がなくなってしまうからです。
ご依頼いただく際は,条件をみたしているか確認するために,住宅ローンの契約書,住宅ローンの償還表(返済計画表),建物と土地の登記,不動産会社でとる住宅の査定書,住民票などをご提出頂き,条件を満たしているかひとつひとつ確認していきます。
みなさまご事情は様々なので,例えば二世帯住宅の場合や一時的に転勤してその住宅に住んでいない場合,諸費用ローンの抵当権設定をしている場合,住宅ローンの借換えをしている場合,事業用の建物の場合,二世帯住宅の場合,建物が複数ある場合など,住宅資金特別条項の条件に当てはまるか問題となる事案が実際には多くあります。本当に微妙な場合は,再生委員の意見次第で結論が異なってくる場合もありますので,再生委員のご理解を得るように弁護士と依頼者の方とで尽力が必要な場合もあります。ここにはみなさまのご参考に条件を書いていますが,微妙な判断が必要となる場合もあるところで,こうしたチェックに慣れている弁護士が見たほうが確実な判断ができますから,ご心配おありの方はまずはご相談下さい。
それと,住宅を守る個人再生をやる場合,住宅ローンの滞納があると調整が難航します。住宅ローンを何ヶ月も滞納していると,個人再生で住宅を守るのは状況次第ですがかなり難しくなってきます。住宅ローンの滞納がないできるだけ早い段階で,ご相談頂くことを強くお勧めいたします。
また,上記の条件を満たしていても,住宅の査定価格が住宅ローンの残額よりも高いアンダーローンの場合,価値がある財産を所有している扱いとなり,個人再生で支払わなければならない金額(清算価値)が増加します(Q&Aアンダーローン住宅の個人再生参照)。この場合,住宅の査定価格と住宅ローンの残額との差額の大きさによっては,個人再生が事実上不可能である場合がありますので,ご相談の際に弁護士が検討します。
住宅資金特別条項の利用(マイホームを守る個人再生)については,個人再生の経験豊富な東京池袋の弁護士にお任せ下さい。
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