A.自己破産ではお持ちの住宅などの不動産は処分し,売却代金を住宅ローンや他の債務に対する配当に回さなければならないのが原則です。(住宅を処分したくない場合は個人再生という手があります。)
明らかに資産価値がなく,買い手もつかず,固定資産税や管理費がかかるだけの,いわゆる『負動産』の場合は処分されない(管財人が処分しようとしてもできない)場合がありますが,これはあくまで例外です。基本的に不動産は処分しなければならないものと考えてください。
ただ,不動産を処分するといっても,実際の処分の時期・方法は状況によって異なります。
まず,住宅をお持ちの場合の自己破産手続が少額管財と同時廃止のいずれになるかについては,管財人が選任される少額管財になるのが原則です。
ただし,住宅ローンが住宅の査定価格の1.5倍を超えるとき(大幅なオーバーローンのとき)は,管財人が住宅を処分しても住宅ローン債権者の担保(住宅の抵当権)の返済に回るだけで他の債権者に配当は見込めませんので,他に問題がなければ同時廃止になる余地があります(いわゆるオーバーローン上申による同時廃止)。同時廃止になれば少額管財の予納金20万円を支払う必要はありません。
同時廃止の場合,管財人がつきませんので,破産手続では住宅は処分されません。ただし,そのまま住宅が維持できるということではありません。住宅は住宅ローンの担保に入っていますから,破産手続と並行してあるいは破産手続の後,担保権者が担保を実行し競売で処分されることになるか,あるいは自主的に任意売却をして処分することになります。
住宅をお持ちの方が,住宅の維持を諦め自己破産することを決めた場合,一つ事実上有利な点があります。弁護士に自己破産を依頼した場合,その日からすべての借金の返済を止めることになり,住宅ローンも返済を停止します。こうして弁護士への自己破産の依頼後すぐに住宅ローンの返済を止めるのに対し,住宅の処分は前述のとおり自己破産の申立(3カ月〜半年程度かかるのが通常です。)後であったり,競売(すぐに競売申立されないことが多いため,トータルで1年程度かかっておかしくありません。)後であったり,任意売却(自主的に行うものなので時期はある程度自分で決められます。)後なので,いずれにせよ住宅の処分は弁護士に破産を依頼した日よりずいぶん後になるのです。つまり,弁護士に自己破産を依頼した後から住宅を処分するまでの間は,住宅ローンを一切払わないで住宅に住み続けることができるのです。
家計の中で住居費は一番大きな支出です。一時期(数カ月〜半年,場合により1年近く)これが不要になるわけですから,毎月の資金繰りに大変余裕が出ます。家計の余りについては,自己破産の手続中は無駄遣いはいけませんが,自己破産の手続費用や新居の賃借費用・引っ越し代に充てていただくことができます。そうして,自己破産の手続費用の負担感が少ない形で日常生活を営みながら債務の整理・自己破産を実現していくことができるわけです。
住み慣れた住宅を失うことはご自身あるいはご家族にとって辛いことだと思います。けれど,どうしようもなく住宅を処分しなければならないとき,前述のようなやり方で再スタートの準備を進めていただくことは,大変有利な自己破産の進め方となります。
こうして,自己破産といってもその進め方はひとつではなく,今後の再スタートのために有利な方法がある場合があります。オリオン法律事務所では,自己破産の豊富な経験とノウハウで,皆様に安全・安心かつ手続に支障がない限りで最も有利な方法を実現して参ります。あなたの最もよい自己破産の進め方については,池袋の弁護士にご相談下さい。
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