A.東京地裁が公表している統計によりますと,東京での個人再生申立の成功・不成功の状況は以下のとおりです。
申立件数 | 取下 | 棄却 | 廃止 | 不同意 | 不認可 | 認可 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
平成26年 | 836 | 24 | 2 | 16 | 28 | 1 | 788 |
平成27年 | 901 | 30 | 3 | 16 | 22 | 2 | 841 |
平成28年 | 808 | 21 | 8 | 15 | 12 | 2 | 735 |
個人再生は裁判所に申立てをしてすぐに終わりになるのではありません。申立て後に個人再生委員が選任され,再生手続開始決定が出て,その後債権者から債権届が提出され,異議申立の手続があり,再生債権の評価の手続があり,申立代理人より再生計画案が提出され,個人再生委員の意見が出て,ようやく再生計画の認可決定が出て,さらに認可決定が確定してようやく手続が一段落します。ここまでで申立てから半年かかります。この後,債権者への3年間か5年間の計画返済が始まりますから,実際にはさらに長いですね。
裁判所に個人再生の申立てをした後,再生計画が確定するまでには,いくつかのハードルがあります。まず,個人再生の申立てをした後に内容に不備があれば,裁判所や個人再生委員からの事実上の要請で個人再生申立てを取り下げなければならない場合があります(上記表の「取下」)。また,個人再生の開始の条件を満たさないときは,申立てが棄却されます(上記表の「棄却」)。さらに,無事に再生手続開始決定が出ても,その後に何らかの事情で再生計画案が作れなければ手続きが廃止されます(上記表の「廃止」)。加えて,個人再生委員への分割予納金の支払いが遅れが続いたり,会社を退職して無収入になったりすれば,再生計画の履行可能性がないと判断され不認可となります(上記表の「不認可」)。給与所得者等再生の場合は,再生計画案について債権者の議決(債権者の半分以上または議決権の過半数)により不同意とされれば手続きが廃止されます(上記表の「不同意」)。
そうして,これらのハードルをクリアしていきますと,最終的に個人再生が成功することになります(上記表の「認可」)。年により異なりますが,全体の9割〜9割5分が成功する感じでしょうか。
この確率を高いとみるか失敗が多いとみるかは見方によりますが,自己破産の場合は免責不許可事由に大きな問題がなければ99パーセント以上が免責されていくことを考えると,個人再生の失敗のリスクは相対的に大きいといえるのではないかと思います。
個人再生の典型的な失敗パターンとして,当初は借金を減額すれば支払いをしていけると考えて個人再生の申立てをしたものの,突然の失業で収入がなくなってしまって個人再生の認可が厳しくなるケースがあります。個人再生は認可後に債権者に対して毎月支払いをしていくことを前提とした手続ですので,今後支払いがしていけないのであれば再生計画が不認可となってしまうのです。ただし,この場合も配偶者や親族の支援が得られば,弁護士がうまく説明することで認可へと持っていけることがありますし,アルバイトでも収入を得て何とか払っていけることを弁護士が説明することで認可へと持っていけることもありますから,想定外に収入を失うことがあったとしても最後まで諦めないで下さい。
個人再生では,弁護士と依頼者とが真摯に状況と向き合い,手続き上の問題点を早期に把握し,問題点について改善ができないか検討し実際に対策をして,準備を整え申立てをしていくことが大切です。
個人再生の手続全般について小職がお話させて頂けますので,個人再生についてはお気軽に東京池袋の弁護士にご相談下さい。
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